経営者と広報との協働で創る。

経営広報は、「広報=メディア対応」という固定観念をいったん(あくまでいったん)外し、①経営者に寄り添い、②言葉にならぬ経営者の意思をつかみ、③それを言語化し、④ときには覚悟を引き出し、⑤ストーリーに仕上げ、⑥それを必要な各機能に接続し、⑦アウトプットの全体統制を図るという、7つの手順から成ります。

これにより、「経営者の一挙手一投足が広報である」という本質を、経営者と広報が協働し一体となって創出することを目指します。

1. 経営広報とは何か?

私が説く経営広報とは、経営者をメディアの前面に押し出すとか、広報が経営と一体となるなどといった、言葉尻だけをとらえた概念とは異なります。広報は本来経営者の仕事であり、いわば「経営者の一挙手一投足がすなわち広報」なのです。ではその状態を創り出すために、広報としては何をどうすればよいのか。それを体系化したのが経営広報です。

2. 広報と経営広報は何が違うのか?

経営広報は、私がたどり着いた広報の理想形です。したがって私にとって広報=経営広報です。しかしもしも御社の広報がHow Toのみを希求するものであれば、それは経営広報とは異なります。一方で、経営者と広報とが一体となり、軸をそろえながら一つの方向に向かおうとされているのであれば、それはまさに経営広報と同じ領域にあります。

3. 今なぜ経営広報なのか?

今日の経営環境は、攻めも守りも混然一体、一瞬で攻守が入れ替わる激しい状況になりました。こんな状況にあるからこそ、経営者は常に首尾一貫した判断とメッセージを全ステークホルダーに向けて、タイムリーに、発信し続けなくてはなりません。経営広報はそれを首尾一貫したストーリーに乗せ、的確に演出します。時代が経営広報を要請しています。

4. 経営広報に必要な資質は?

広報に必要な「礼儀正しさ」という当たり前のことに加え、守備範囲を限定せず職掌を超えて柔軟かつアグレッシブに行動できること、また経営者の意思をつかむために洞察力と創造力を発揮できること、そしてどんな状況にあっても〝あきらめる〟=「明らかに極める」=「希望でも、絶望でもなく、事実を真正面から受けとめられる」ことが大切です。

5. 経営広報の活動指針は?

経営者と向き合い、その想いや覚悟を引き出し、それを首尾一貫したストーリーに据えることは、決して簡単なことではありませんが、これが経営広報の主軸になります。冒頭に掲げた7つの手順ごとに、各5つ、計35の秘訣をベスト・プラクティスとして体系化していますので、拙著『プロフェッショナル広報の仕事術』をぜひご参照ください。